サンリオピューロランドのミラクル♡ライトの仕組み。制御と解析。
技術っぽいようなそうじゃないようなことを書いていきます。
かなり丁寧に書いたつもりなので技術系に興味がなくてもミラクル♡ライトを知っている人に読んでいただけたら嬉しいです。
ミラクル♡ライトとは
ミラクル♡ライト*1をご存知でしょうか。
ミラクル♡ライトとはサンリオピューロランドで販売されているペンライトです。
サンリオピューロランド内で行われるパレードで振って楽しむものですが、このペンライトには2つ特徴があります。
1つ目の特徴は持っている本人が操作せずともパレードの進行や演出に合わせて光り方が変わること。
つまり、無線で制御をすることができるペンライトだという点です。
無線制御型ペンライトはNHK紅白歌合戦などでも採用されており、存在を知っているという人も多いのではないでしょうか。
2つ目の特徴は家でパレードのDVDを見ているときでもパレードの進行や演出に合わせて光り方が自動で変わる点です。
無線制御型ペンライトの多くは、会場中に送信された発光パターンの電波信号をキャッチしてそのパターンどおりに発光する仕組みです。
そのため、電波送信のための特別な機器が必要となり光り方が自動で変わるのは会場限定で、家でライブ映像などを見ているときは使えません。
しかし、ミラクル♡ライトは家でパレードのDVDを見ているときでも光り方が自動で変わるため、パレードの雰囲気を最大限楽しむ事ができるのです。
本題
それではこの記事の題の通り、ミラクル♡ライトの光り方を制御する方法を考えていきましょう。
先程ミラクル♡ライトの制御に特別な機器は必要無いと書きましたが、それならミラクル♡ライトは何によって制御されてるのでしょうか。
ミラクル♡ライトは家でDVDを見ているときでも光り方が変わるということなので、DVDについて考えてみます。
DVDを見ているときにテレビから発せられるのは光(映像)と音だけですね。
光で制御されているのでしょうか?
ミラクル♡ライトはテレビに向けていなくても演出に合わせて光り方が変化しますし、ミラクル♡ライトにカメラがついているようには見えません。
そうなるとミラクル♡ライトは音によって制御されているのだろう考えられます。
しかし音で制御と言ってもよくわかりませんね。
そこで、何かヒントが見つかるかもしれないのでミラクル♡ライトの発光パターンが変わる前後のDVDの音を目で見てみたい
...のですが、音を目で見るとはどういうことでしょうか。
こちらの画像を見てください。
この画像はDVDの適当な場面の音ををスマートフォンのマイクで録音しアプリを使って解析したもので、その時間にどの周波数の音がどれくらい出ているかを表現したグラフです。
音の高さを周波数で表すことは知っているでしょうか。
高い音ほど高周波で低い音ほど低周波で単位はHzです。
画像の右側に(数字)Hzと書いてありますね。上に行くほど高周波の音ということです。
また、赤みが強いほど大きな音が出ているということなので、横軸の時間では録音を始めてから13.25秒、14秒、14.75秒(sは秒の意味)のあたりで、縦軸の周波数では500Hz~2000Hzの部分が周りと比べて大きな音が出ている(赤くなっている)ように見えますね。
この部分はリズムよく音が鳴っていた部分です。
またそれ以外にも様々な楽器の音が鳴っているため全体的に赤くなっています。
このようなグラフのことをスペクトログラムと言います。
さて、それではミラクル♡ライトの発光パターンが変わる前後のDVDの音を見てみましょう。
光り方が変わる前後の約6秒の音を解析したものです。
静かなシーンなので全体的に赤みは弱いですが、録音を始めてから1.5秒くらいから1000Hz程度の音が、3秒くらいから5000Hz程度の音が鳴っていることがわかります。
しかし注目すべきはそこではありません。20000Hzより少し低いあたりに16本の線のように見えるものがありますね。
拡大してみましょう。
明らかに怪しい。
どのような音が出ているか見てみると、
18500→19250→19500→19250→19000→18750→19000→19250(Hz)
これら8つ合わせて1秒の音が2回繰り返されています。
人間が聞きとることができる音の周波数の範囲は一般的に下は20Hz程度から、上は(個人差があるが)15000Hzから20000Hz程度。
ちなみにモスキート音は17000Hz前後の音です。
つまりこの音は、多くの人間がギリギリ聞こえないくらいの音でできているわけです。
この周波数や1秒という時間から、
明らかに人の手によって意図的にDVD中に入れられた音と考えられますね。
というわけで全く同じ周波数の音の並びかつそれぞれの音が1/8秒=0.125秒の音声ファイルを作りました。作り方は省略します。
これを再生してミラクル♡ライトに聞かせてあげようと思います。
まずDVDの該当のシーンを再生した場合です。音が出るので注意してください。
ハァアァアァ~の音とともにミラクル♡ライトが紫色に光りました。
画面にもお客さんのミラクル♡ライトが一斉に紫色に光る様子が映っていますね。
次に作った音声ファイルを見てみましょう。
可聴域外の音だけの音声ファイルなので音が出ているようには思えませんが同様にミラクル♡ライトが紫色に光りました。
大成功です。
ミラクル♡ライトの光り方を制御することができました。
期待したとおり、怪しい音はミラクル♡ライトを制御するための信号でしたね。
DVD中には他の信号もあったので一部をまとめました。
これでかなり自由にミラクル♡ライトの光り方を制御できますね。
この記事の題である“サンリオピューロランドのミラクル♡ライトの光り方を制御する。”を達成できたのではないでしょうか。
しかしこれで終わりでいいのでしょうか。まだまだ制御できていない光り方はいっぱいあるように思えます。
上の表を見て法則性に気付かないでしょうか。
18.50→0、18.75→1、19.00→2、19.25→3、19.50→4
のように変えてみましょう。
これを見るとわかりやすいですね。
1番左の数字は必ず0になっています。
また、左から数えて偶数番目の列は必ず1か3、
1列目を除いた奇数番目の列は必ず2か4になっています。
つまりミラクル♡ライトの制御信号は7bitだということです。
ピンとこない人もいると思うので続けていきます。
1番左の数字(1番最初の信号)が必ず同じということは1番左の数字はここから信号が始まるという合図のようなもので、残りの7つの信号の違いでミラクル♡ライトの制御をしているのでしょう。
ここからは1番左を省いた7つの信号として考えていきます。
次に、各列で使われている周波数は違いますが各列2種類ということで各列の小さい数字を0、大きい数字を1として2進数に変えてしまいましょう。
上の画像での1番左の列は無くなっていることに注意してください。
左の数字は2進数を10進数にしたものです。
DVDに入っていた信号は全体の一部だと思われますが、全部で何種類の信号があるのでしょうか。
7つ音を並べたものであり、各々が2種類の周波数のどちらかなので
2*2*2*2*2*2*2=128
となり、128種の信号を作ることができますね。
全パターン作りましょう。
全128パターンについて試行しまとめたものがこちらです。
xはミラクル♡ライトが反応しない信号です。
この表以外にミラクル♡ライトが反応する信号はないと思われますので、これで本当に“サンリオピューロランドのミラクル♡ライトの光り方を制御する。”が達成できました。
最後に
可愛いペンライトだと思っていたらとても面白い仕組みで楽しめました。
たとえば作成した信号の音声ファイルを曲中などに重ねるだけでミラクル♡ライトを曲に合わせて光らせたりすることもできますね。
最近ミラクル♡ライトの仲間で同様にパレードの演出に合わせて光り方が変わるミラクルいちごライトというものが発売されたようですね。
ミラクル♡ライトとは光り方が違うようなのでぜひ入手したいと思っています。
しかし、ここまでミラクル♡ライトについて書いてきましたが私自身サンリオピューロランドには行ったことがないためミラクルいちごライトの入手は厳しそうです。
*1:ミラクルハートライトと読む。